東野幸治さんに学ぶ話を振る能力

コミュニケーション力。

ビジネスにおいてもプライベートにおいても多くの人が悩みを抱える問題です。

未だにコミュニケーションに関する本やYouTubeが毎日のように更新され紹介されています。

さらに、リモート環境下になり、テレビ会議でのやり取りが増えた中、コミュニケーションのハードルもリアルに会っていたときに比べて高くなった用に思えます。

私が思うに、コミュニケーションにおいて最も重要なのが「自分ばかり語りすぎず相手にいかに話をしてもらえるか」です。ただ、それはなんとなくわかっているけど、どうすればいいのと悩んでいる方が多くいるのではないでしょうか。

そこで今回は、いかにして相手に話をしてもらうのか、いわゆる「話の振り方」についてご紹介していきます。ただし、普通に語るよりも、身近に感じる人がいいと思うので、テレビでよく見かける東野幸治さんが実施している「話の振り方」を参考にしながらご紹介していきます。

 

東野幸治さんとは?

まず、簡単に東野幸治さんについてご紹介します。

テレビで活躍されているので知っている方も多いかと思いますが、吉本興業に所属しているお笑い芸人さんです。

※以下、吉本興業の公式HP参照

東野幸治 プロフィール|吉本興業株式会社
吉本興業に所属している東野幸治のプロフィールをご紹介いたします。

名前:東野幸治
生年月日:1967年08月08日
デビュー年:1985年
主なレギュラー番組:ワイドナショー、行列のできる法律事務所、芸能人が本気で考えた!ドッキリGP…など

30年近くテレビで活躍する超売れっ子のお笑い芸人です。

ここ数年ではMCとしての出演が多くなり、どんなタレントでも、相手の良さを潰さずに相手のペースを維持しながら笑いを作り上げるスペシャリスト。芸能界では多くのハイスキルなMCがいますが、東野幸治さんはその中でもトップクラス。

では、そんな東野幸治さんがどのような形でMCとして話を振っているのか、ご紹介していきます。

 

最近の話題から話を振る

特に大人数でのコミュニケーションでは、まずは参加している人たちの場の空気を作るために、最近の状況から話題を振りましょう。誰が発言してもいいように、いわゆる準備運動です。

例えば、東野幸治さんだったら、ゲストや出演者を紹介する際は、その人の最近のできごとにちなんだ話を振っていきます。

具体的に解説すると、2021年8月8日放送のワイドナショーにて。

出演者は、松本人志さん、上原浩治さん、菊地亜美さん、清塚信也さんでした。

その際に菊地亜美さんに話を振る話題としては、

・3月に出産したばかりなのでお子さんのことを聞く
・産後に仕事に復帰した際の話を聞く
・最近のオリンピックの話を聞く

この3つのパターンが挙げられます。

東野幸治さんはこれら3つのパターンの話題を細かく調整しながら話を振っていました。こういった形で、特に注目したい東野幸治さんのMCの凄さは「相手の反応を伺いながら相手をほぐしていくスキル」です。

例えば、「3月に出産したばかりなのでお子さんのことを聞く」パターンの場合。

①お子さんに関連する話題

②子育ての話題

③母親になっての心境の変化

といったように、関連する情報を元に相手の話を聞き出していきます。無理やり、聞いている側が知りたい情報だけを聞き出すのではなく、あくまで相手のペースを維持しつつ、相手が話しやすい状況を作ってから。

なので、お子さんの話を聞いたあとに何の文脈もなくオリンピックの話題を振りません。よく、コミュニケーションが苦手な人が陥りやすいのは、質問がぶつ切りになって、前後の文脈が全く関係ない状態になり、尋問みたいな会話になってしまうケースです。

ポイントはあくまで相手のペースで。

ここを抑えておきましょう。

 

メンバーの役割を明確化

次に出演者が呼ばれた意図を汲み取って、それぞれの役割を明確化させていきます。

先ほどのワイドナショーの例でいうと、

松本人志さん:話を落とす
上原浩治さん:オリンピック関連のプロ視点の情報を語ってもらう
菊地亜美さん:女性目線、母親目線で話をしてもらう
清塚信也さん:困った時の起爆剤的な立ち位置

それぞれのタイプやスキルによって、役割を明確化させていきます。

ここを怠ってしまうと、盛り上がりに欠ける状況になったり、参加者が気持ちよく話ができない状況に陥る可能性が起こります。どうしても話に参加しづらいと感じている人が出てきて、ずっと参加できなくて会話が楽しめないことになりかねません。

東野幸治さんは、1人1人の出演者の役割を明確化させて、会話の流れをパターン化させます。どの話題でもある程度のパターン化されたフレームに当てることによって、トークを成立させています。

メンバーの役割を明確化させておく前提として、相手をよく知っておくことが重要です。

どういうタイプなのか、話し方や表情など。

もし、はじめましての場だったら、自己紹介をした時に見極めましょう。

ざっくりですが、おおよその会話の癖からタイプを読み取れます。

・ハキハキ話す人:話の着地をまとめてくれる人
・視点が定まらない人:人見知りで会話が苦手
・笑顔が多い:恥ずかしがり屋

実際には更に細かく分類できますが、そこまで分類しなくても会話をしながら相手がどこに興味を持っているのかなど発言の1つ1つを聞いて探っていくとよいでしょう。

 

話を振る順番を決める

メンバーの役割が明確化したら、誰にどのタイミングで話を振るのかを決めておきます。

先ほど紹介したいわゆるパターン化です。

役割はこちら。

松本人志さん:話を落とす
上原浩治さん:オリンピック関連のプロ視点の情報を語ってもらう
菊地亜美さん:女性目線、母親目線で話をしてもらう
清塚信也さん:困った時の起爆剤的な立ち位置

順番をつけるとこちら。

松本人志さん:最後
上原浩治さん:最初or誰かのあと
菊地亜美さん:最初or誰かのあと
清塚信也さん:最初or誰かのあと

少し極端ですが、この話題だったら話を始める人が誰で、次に誰を指名して、誰で落とすのかを決めます。

ワイドナショーでは多くの場合、松本人志さんで話を落としているので、会話のテーマの最後は多くのパターンが松本人志さんです。もちろん、話題によっては松本人志さんから話を始めるパターンもあります。その際は自分(東野幸治さん本人)が最後にまとめてオチを付ける選択肢をとっています。

これをランダムに話を振っていくと、話題の着地や論点がズレたり、盛り上がりに欠ける状況に陥ります。それを避けるためにも、誰が最後に締めくくるのか、この話題は誰から話してもらうのかを整理して話を降っていきます。

 

相手が答えやすい質問の仕方

一番気を付けなければいけないのが質問の仕方です。

いかに相手に気持ちよく話をしてもらうか。

ポイントは「クローズド・クエスチョン」と「オープン・クエスチョン」を使い分けること。

クローズド・クエスチョンというのは、YES/NO、A/B/Cのいずれかで回答できる質問です。

例えば、

「この前のオリンピックは見ましたか?」

という質問の回答は、

「YES」/「NO」

この2択になるはずです。

全てをクローズド・クエスチョンにしてしまうと取り調べみたいにぎこちない会話になります。そこでオープン・クエスチョンも織り交ぜながら会話すると、話が盛り上がります。

オープン・クエスチョンというのは、相手の考えを聞き出す質問です。

例えば、

「この前のオリンピックを見て何か感じたことはありますか?」

という質問の仕方です。

この質問に対しての回答は「YES」/「NO」では答えられないはずです。

このクローズド・クエスチョンとオープン・クエスチョンを使い分けながら会話をしていきましょう。

東野幸治さんはこれが抜群にうまい。

「この前のオリンピックは見ましたか?」

まずこんな質問はしません。

東野幸治さんが質問するとしたら、

「この前のオリンピック、日本は過去最多の27個の金メダルを獲得しましたが○○さんはご覧になられましたか?」

こういった形で質問していきます。

ポイントは「過去最多の27個の金メダル」というワードです。

この前置きをすると、オリンピックでも金メダルを取った選手のこと、もしくは惜しくも金メダルを逃した選手のことを相手が話やすくなります。仮に見ていなかったとしても、相手が「見ていなかったんですが金メダルを27個もとったのか」と新しい情報を付与してあげることができます。

いかにして、相手が返しやすく、且つ、これから続く言葉のやり取りをしやすい状況を作り上げるか。

東野幸治さんの話の振り方をぜひ着目してテレビを御覧ください。

すごく勉強になります。

 

話を振るときの注意点

実際に会話する上での注意点ですが、目指すゴールは全員が参加して気持ちいい状態を作ること。

そのためには、誰かが犠牲になるような会話をしてはいけません。例えば、下手に誰かをイジって笑いを取ろうとして、結果的に相手を傷つけてしまうような会話です。

今回は東野幸治さんを例に挙げて解説しましたが彼らは話のプロです。TVショーとして他人をイジって笑いを取ります。そして、TVタレントの多くはイジられて笑いを取ることを臨んでいるケースが多い。

しかし、一般社会は違います。

イジられて「おいしい」と思う変態的な人はほとんどいません。

たまにいますが。。。

特に最近は昭和や平成の時代に比べて「パワハラ」や「セクハラ」が問題視されています。そんな中でいくら仲がいい社員だったとしても、イジりで笑いを取ると「パワハラ」に該当されます。

良いことはテレビの世界を真似しても良いですが、絶対に現実社会との線引が必要です。

特に、意識しておいたほうが良いものは以下の2つ。

・「パワハラ」や「セクハラ」に該当するイジり
・愚痴や誰かを対象とする誹謗中傷

つまり、話を聞いて誰かがテンション下がるようなこと。

これはNGです。

その場で仮に場が和んだとしても一瞬だけで、たいていの場合、誰かが嫌な気持ちになっています。中には愚痴を面白おかしく表現できる生粋の話芸を持った人もいますが天性のスキルの持ち主か、とんでもなくトークスキルを磨いているかのどちらかなので、中途半端に真似をすると最悪です。

なので、テンションが下がることは話題に挙げないように。

 

まとめ

今回は東野幸治さんのMCを参考にコミュニケーション術を解説していきました。

まとめると以下の通り。

・最近の話題から話を振る
 ①相手が話しやすい状況を作り出す
 ②自分が知りたい情報よりも相手のペースで話を振る

・メンバーの役割を明確化
 ①各メンバーのタイプを分析して役割を明確化
 ②相手の表情やリアクションでタイプを知る

・話を振る順番を決める
 ①話題に対して誰を最初と最後にするかを決める
 ②タイプによって順番を決める

・相手が答えやすい質問の仕方
 ①クローズド・クエスチョンとオープン・クエスチョンを使い分ける
 ②織り交ぜながらポイントを抑えて回答しやすい質問にする

・話を振るときの注意点
 ①誰かが犠牲になる会話はNG
 ②誰かがテンションが下がる話題はNG

コミュニケーションというのは今日、明日で上達するものではありません。

日々の振り返りから徐々に上達していきます。

なので、今回はテレビでよく見かける東野幸治さんから、話の振り方を学ぶことで、日々の生活の中から定期的に「自分はどうか?」という振り返りを行っていただれければと思います。

最初のうちは失敗したり、同じように真似をしても全くうまくいかないことが多いと思います。

重要なのは繰り返し行うことです。

ともに頑張りましょう。

応援しています。

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