元お笑い芸人が実践した就職面接の自己紹介

これまでアルバイトの面接は経験したことがあるかもしれませんが、就職の面接は少し違います。その点を細かく記述している記事がありますので、もしこちらをまだご覧頂いていない方はご参考までにぜひ。

 

  

 

面接の流れをおさらい

 

まずは就職面接の流れを把握しておきましょう。
一般的には以下5つです。

 

①自己紹介
②転職・就職をなぜ行うのか
③志望動機
④過去の経験や会社で活かせそうなスキル
⑤面接官への質問

 

もちろん会社によっては他にもあります。さらに、①~⑤までの内容で追加で質問など発生する可能性も十分にあります。なので、あくまで一般的な流れとしてご認識いただけると幸いです。

今回ご紹介するのは「①自己紹介」の対策になります。

特にお笑い芸人なら芸人同士や関係者など現場で始めましてのの人が多いので、自己紹介は慣れているのかもしれません。しかし、お笑い芸人時代の自己紹介はせいぜい「芸名(コンビ名)、個人名、所属事務所」を述べるぐらいだったと思います。就職面接は違います。もっと深掘って自分自身を面接官に紹介する必要があります。

では、実際に就職面接で過去のお笑い芸人の経歴も含めて、就職面接での自己紹介をどのようにしていけばいいのかをご紹介していきます。なお、大前提として「これができれば完璧!」というわけではありません。実際に面接で試してみてからが勝負になります。どこのポイントで面接官の心を掴むことができるのか。今のところ想像しかできません、実際にやってみて、検証と改善を繰り返しながら精度を上げていきましょう。

全くの同義にはできませんが、例えばM-1やキングオブコントの1回戦で新ネタを下ろす芸人はほとんどいないと思います。1年かけて今年の賞レースでかけるネタの精度を上げていくはずです。面接もそれと似ているところがあります。面接を繰り返しながら面接官が興味を持ってくれることへのポイントが掴めてきます。ただし、だからといって最初の面接を慣らしで適当にやるのも違います。全力で挑みましょう。全力で挑んだ結果、どんな反応が得られるのかが重要となります。

 

 

自己紹介は就職面接の最初の難関

 

就職面接における自己紹介はお笑い芸人のネタでいうところの「つかみ」になります。

すでにご存知だと思いますが、最初のつかみでお客さんの心を引き寄せないと後々のネタに大きく影響されます。就職面接も同じです。逆に最初のつかみ(自己紹介)で面接官の心を引き寄せていれば、面接全体の流れが非常に良くなります。

難易度は少々高いですが、ラッキーなことにアナタにはお笑い芸人の経験があります。

もし、お笑い芸人を経験されていない方でも、例えば元役者や元ミュージシャン、もしくはニートでも一般的には希少価値の高い人に値します。経歴なしはマイナスに思われがちですが、使い方次第でプラスにも樹分に転じることができます。ドラマや映画などのストーリーは主人公が成長していく姿を描くことで盛り上がりを見せています。それと同じです。まだ何も成し遂げておらず、新しいこと(就職)をチャンレジするアナタは非常に魅力的です。

ゼロ、いや、むしろマイナスの時点に立っているアナタには成長しか待っていません。これまでの活動や行動をきちんと言語化し、これからどうしていきたいのかを伝えることで面接官に興味を持ってもらえる確率がグッと引き上がります。

 

例:元お笑い芸人の自己紹介

私が経歴なしの状態で最初に就職した会社で実施した面接を例にして、自己紹介の対策をご紹介していきます。こちらが、私が初めて就職する際に伝えた自己紹介です。

 

では、簡単にですが自己紹介をさせていただきます。私の経歴は主に1つです。履歴書と職務経歴書に記載している通り、高校を卒業後にお笑い芸人を目指して地元の長崎から上京し、お笑い芸人の養成所へ入りました。そして、卒業後に芸能事務所に所属し、プロのお笑い芸人として約5年半、コンビとしてライブを中心に活動しました。元々、お笑い芸人を始めようとしたきっかけは幼少期にさかのぼります。私は小学生の頃、周りの友達より太っていて、よく「デブ」とか「ブタ」とか暴言を履かれていました。今考えると冗談も入っているとはいえ、小学生の頃の私にはそれがイジメだと思い、学校に行くのも嫌になっていました。しかし、テレビで活躍されていたモノマネ芸人の松村邦洋さんを初めて見て衝撃を受けました。松村さんはモノマネだけではなく、太っていることを活かして笑いをとって人気者だった姿は当時の私を元気づけてくれました。お笑い芸人ってかっこいい。自分の価値観が壊された初めての経験でした。そこがお笑い芸人という職業を意識したキッカケです。そこから、中学生になり、進路について初めて真剣に考えたときに思い浮かんだのがお笑い芸人でした。それ以降、高校まで通いましたが将来はお笑い芸人になる意思は変わらず、高校卒業後にお笑い芸人を目指して田舎から1人上京しました。しかし、結果として5年半続けたお笑い芸人を辞めた理由は、自分の芸人としてのスキルに限界を感じたからです。お笑い芸人を始める当初に掲げていた目標がありました。それは、5年以内に賞レースで必ず準決勝に一度は進出することでした。なぜなら、芸人を始める前に売れた芸人の特徴や経歴を調べていくと、必ず5年以内に賞レースで準決勝に一度は進出していたことがわかったからです。そこに到達しないとそもそも同じ土俵で戦えないと覚悟しました。一発だけ偶然が重なって運良く売れても継続して売れ続けることはできないだろうと。結果、5年以内で準決勝どころかその直前の3回戦すら進出できない状態でした。さらに、中学生の頃から見ていた売れかけの芸人さんが当時から10年近くたったいまも売れかけの状態でくすぶっている姿に絶望を感じ、辞める決断をしました。自分で決めたことなので未練は全くありません。同期や知り合いの芸人で売れた人もいますが、彼らに嫉妬することもありません。これからはライブに足を運んでくださったお客様ではなく、自社と取引いただくお客様を喜ばせていければと思います。お笑い芸人も会社員もお客様に喜んでいただくことは同義だと感じております。ただし、私には同世代の会社員と比べてブランクがあるため、他の人の2倍や3倍と言わず、場数をこなしてすぐに経験差を埋めて追い抜かせるように頑張ってまいりたいと思います。自己紹介は以上です。

 

書き起こすと長くなりましたがざっとこんな感じです。全てを読み上げると5分くらいかかります。では、詳細を解説していきます。

主なポイントとしては4つあります。

①簡単な経歴
②お笑い芸人を目指したキッカケ
③お笑い芸人を辞めた理由
④これからどうしたいか

 

 

自己紹介のポイント①簡単な経歴

 

まずは最初のポイント。
簡単にざっくりとした経歴を面接官に説明します。
私が上げた例では以下の通りです。

 

では、簡単にですが自己紹介をさせていただきます。私の経歴は主に1つです。履歴書と職務経歴書に記載している通り、高校を卒業後にお笑い芸人を目指して地元の長崎から上京し、お笑い芸人の養成所へ入りました。そして、卒業後に芸能事務所に所属し、プロのお笑い芸人として約5年半、コンビとしてライブを中心に活動しました。

 

面接官によってはざっくりとした経歴だけ述べて、その後に「②お笑い芸人を始めたキッカケ」「③お笑い芸人を辞めた理由」「④これからどうしたいか」などは質問で受け答えしながら進める方がより伝わりやすかったりします。面接官もアナタだけではなくこれまでに何百と面接を行ってきたので、自己紹介で長々と話されても上の空で内容が全く入ってこない可能性もあります。

伝えたい全ての内容を伝えるのも良いですが、面接官の反応を見ながら②以降も続けて伝えるかは考えながら話していきましょう。この変はお笑い芸人時代で培ってきたアドリブ力でカバーできるはずです。少々むちゃぶりで申し訳ありませんが。。。

 

 

自己紹介のポイント②お笑い芸人を目指したキッカケ

 

次に、お笑い芸人を始めたキッカケを説明します。

 

元々、お笑い芸人を始めようとしたきっかけは幼少期にさかのぼります。私は小学生の頃、周りの友達より太っていて、よく「デブ」とか「ブタ」とか暴言を履かれていました。今考えると冗談も入っているとはいえ、小学生の頃の私にはそれがイジメだと思い、学校に行くのも嫌になっていました。しかし、テレビで活躍されていたモノマネ芸人の松村邦洋さんを初めて見て衝撃を受けました。松村さんはモノマネだけではなく、太っていることを活かして笑いをとって人気者だった姿は当時の私を元気づけてくれました。お笑い芸人ってかっこいい。自分の価値観が壊された初めての経験でした。そこがお笑い芸人という職業を意識したキッカケです。そこから、中学生になり、進路について初めて真剣に考えたときに思い浮かんだのがお笑い芸人でした。それ以降、高校まで通いましたが将来はお笑い芸人になる意思は変わらず、高校卒業後にお笑い芸人を目指して田舎から1人上京しました。

 

①だけ簡単な経歴だけを説明して終わると、必ず「なぜお笑い芸人を始めたのか?」を質問されます。これまで転職も含めて百回近くの面接を経験しましたが、「なぜお笑い芸人を目指したのか?」は100%聞かれました。

面接官が知りたいのは具体的な理由への納得感です。すでに「経歴なし」というハンデがあるので、「お笑い芸人辞めたから就職してもあまり続かないのではないか?」と疑われる可能性もあります。その懸念要素をカバーするためにも、過去に選択した道に対して具体的な理由への納得感が得られるかが重要になります。

「軽いノリで転々としているんじゃないか?」

このイメージを持たれたらどこの会社にも受からないと思ってください。少し大げさかもしれませんが、会社はお金をかけて採用活動を行っています。企業によっては1人採用するのに100万円近く使うこともザラです。その100万円に値する人間かどうか。自己紹介ひとつでも見抜かれます。

 

 

③お笑い芸人を辞めた理由

 

3つ目がお笑い芸人を辞めた理由です。これも目指したキッカケと同じく、その選択が具体的で納得感があるかです。軽いノリだと思われないように少し感情を入れて面接官に伝えましょう。

 

しかし、結果として5年半続けたお笑い芸人を辞めた理由は、自分の芸人としてのスキルに限界を感じたからです。お笑い芸人を始める当初に掲げていた目標がありました。それは、5年以内に賞レースで必ず準決勝に一度は進出することでした。なぜなら、芸人を始める前に売れた芸人の特徴や経歴を調べていくと、必ず5年以内に賞レースで準決勝に一度は進出していたことがわかったからです。そこに到達しないとそもそも同じ土俵で戦えないと覚悟しました。一発だけ偶然が重なって運良く売れても継続して売れ続けることはできないだろうと。結果、5年以内で準決勝どころかその直前の3回戦すら進出できない状態でした。さらに、中学生の頃から見ていた売れかけの芸人さんが当時から10年近くたったいまも売れかけの状態でくすぶっている姿に絶望を感じ、辞める決断をしました。自分で決めたことなので未練は全くありません。同期や知り合いの芸人で売れた人もいますが、彼らに嫉妬することもありません。

 

これまでに「この芸人には勝てないな」「お笑い界は想像していたよりも厳しい」と感じたことは多くあるはずです。逆にそれを感じなければ辞める選択肢はなかったはずです。その無力感や絶望といった一見するとマイナスに捉えられる要素を言語化して、これからの原動力であることを面接官に伝えましょう。

 

 

④これからどうしたいか

 

最後はこれからどうしたいかを述べることです。

 

これからはライブに足を運んでくださったお客様ではなく、自社と取引いただくお客様を喜ばせていければと思います。お笑い芸人も会社員もお客様に喜んでいただくことは同義だと感じております。ただし、私には同世代の会社員と比べてブランクがあるため、他の人の2倍や3倍と言わず、場数をこなしてすぐに経験差を埋めて追い抜かせるように頑張ってまいりたいと思います。自己紹介は以上です。

 

最後のオチの部分になります。じゃあ、その経歴を踏まえてこれからどうしていくのか。もう少し付け加えると、なぜアルバイトを継続してやるわけではなく、就職しようと思ったのかも具体的に説明したほうが親切です。実は②~④の3つの流れはストーリーとして面接官に感情移入させるポイントとなっています。

 

②お笑い芸人を目指したキッカケ(希望)
③お笑い芸人を辞めた理由(絶望)
④これからどうしたいか(希望)

 

流れとしては、「希望⇒絶望⇒希望」です。「明るい未来を描いて目指したお笑い芸人だったけど、現実にぶち当たり辞めることになったが、これからの未来は現実に向き合っていきながらも前に進んでいく」一種のストーリーみたいな感じで少し大げさかもしれませんが、そこまでしないと面接官には感情移入してもらえません。

ただし、誇張しすぎてウソを付くのだけは避けましょう。いずれバレます。1つのウソを付くと、そのウソをカバーするために辻褄を合わせたウソをまた付かないといけなくなるので、結果的に自分が苦労します。

 

 

まとめ

 

今回の内容をざっくりまとめると以下の通りです。

 

・自己紹介は就職面接の最初の難関
・自己紹介のポイント
 ①簡単な経歴
 ②お笑い芸人を目指したキッカケ
 ③お笑い芸人を辞めた理由
 ④これからどうしたいか

 

冒頭でも伝えましたが自己紹介は面接でも最初の難関です。ネタで言うところの「つかみ」になります。ここで面接官の心をつかむと以降の流れがよくなります。自己紹介はこれまで色々な場所で経験したことがあると思います。なので、コツさえ掴めば簡単にできると思いますが、簡単だからこそ、他の候補者との差別化が必要です。そして、「経歴なし」のハンデを逆手に取ってマイナスからプラスに逆転できるポイントでもあります。

あまり難しく考えず、簡単なエピソードトークだと思ってください。

ただし、結論から述べることを意識しておきましょう。別の機会でお伝えしますが、ビジネスマンは結論ファーストです。プロのお笑い芸人がやっているようにオチまで向かって話すのではなく、結論から伝えるようにしましょう。

今回の内容は以上です。

自己紹介、うまくいくことを祈っています。

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました