お笑い芸人を数年続けて引退して、いざ就職する際に必ずぶち当たる壁があります。
それは年齢です。
例えば18歳でお笑い芸人を始めた方。
私がまさにそうでした。
周囲の先輩はみな年上ばかりです。
「年上の先輩」という何の違和感もない状況で芸人を続けられました。
ところが、私がお笑い芸人を辞めたのが25歳くらい。
そこから就職して働き始めると年下の先輩が現れます。
そうなってくると心配なのが年下の先輩への接し方です。
無意識のうちに、お笑い芸人を続けていたアウトローな気分が抜けず、社会人スキルがないのに変に尖ってしまい周囲に悪影響を与える最悪のケースも招いてしまいます。
結果、干されます。
会社員でも干されることがあります。
プロジェクトから外され、やりたかった業務ではなく雑用ばかり。
転職しようにも特にスキルもないので転職も難しい。
そうなると最悪です。
逃げ場がなくなります。
あいにく私は周囲の方たちが面倒を見てくれたので今でも会社員として第一線で戦えています。
このようにお笑い芸人から就職を成功させても上手く働けていかないと意味がありません。
せっかく頑張って就職できたのに非常にもったいないです。
イメージだけでいうと「年下の先輩への態度や変なプライドなんて簡単に捨てられる」と思っていても、実際に働いてみると無意識に相手に違和感を与えている言動を繰り返している可能性があります。
さらに悪質なのが、それが相手にとって違和感ある言動だと気づいていなかった場合です。
では、芸歴を重ねたお笑い芸人が就職する際にどういったマインドセットが必要なのか。
今回はそちらを紹介して行きます。
紹介する内容はお笑い芸人だけではなく、社会人歴を少し重ねた方にも通じる内容があるのでぜひご参考までに。
プライドを捨てる
これは一番優先すべき内容です。
お笑い芸人界では特に、
「むかしは尖っていた」
「他の芸人のネタでは絶対に笑わない」
などプライドを持っている若手芸人が多くいます。
芸歴を重ねて「それではダメだ」と気付き、少しずつ自分を認め初めて尖りを丸なっていきます。
会社員でも同じです。
お笑い芸人をやっていた過去は普通の会社員にとっては珍しい存在です。
一瞬だけですが、チヤホヤされます。
さらに、変なフリやギャグの強要もされます。
「自分がお前らとは違う!」
それを顔に出したりするとすぐに行動にあらわれて相手にバレてしまいます。
そこはグッとこらえましょう。
さすがにひどければ上司に相談しましょう。
ちなみに私は、
「なにか面白い話をしてよ」
と毎日駆け寄ってくる先輩を毛嫌いしていたことがありました。
とうとうしびれを切らした私は、
「なにか面白い話をしてよ」
と言われたタイミングで先輩の顔をじっと見つめて、
「お~も~し~ろ~ば~な~し~!」
と歌舞伎役者顔負けの演技で相手をドン引きさせました。
次の日から先輩はネタを振るのを辞めてきました。
これくらい振り切るか、もしくは軽くやるか、笑ってごまかすかが必要です。
少しでもプライドを持っていたら成長するチャンスが減ります。
「年下のお前なんかに言われたくないよ」
と少しでも思ったら改めてください。
会社では年下でも先輩は先輩です。
そこはお笑い芸人と同じルールです。
働き始めは会社員としてのスキルは先輩の方があります。
そこをプライドが邪魔して学びを放棄すると非常にもったいないです。
世間で言うところの素直さはこのこと。
相手からの指摘は伸びしろです。
喜んで受け取り改善していきましょう。
ささいな指摘を改善していくサイクルを周囲に見せていくと信頼が生まれます。
「ちゃんとアドバイスを聞いて実行するやつ」
その認知を社内に広がると絶大な信頼へ繋がります。
1つ1つの信頼の積み重ねが大きな信頼を生み出します。
ぜひ、余計なプライドは捨てましょう。
経歴なしは採用したくない(企業目線)
企業側からするとこれが本音です。
経歴なしのお笑い芸人を採用してゼロから育てるのは相当リスキーです。
扱い方の事例がないので誰もコントロールできるイメージがわきません。
日本社会はまだまだ減点方式で評価がされている会社も多く、例えば元お笑い芸人のアナタを採用したけど周囲に馴染めず3ヶ月で辞めてしまうと採用した人事担当に責任が問われます。
「なぜ元お笑い芸人を採用したんだ?」
結果、人事の担当者の評価が下がります。
経歴なしのお笑い芸人を採用するのは会社側からすると非常にリスキーです。
特に近年は転職が盛んになってきて、人材の流動性も上がってきました。
そんな中で経歴なしのお笑い芸人を最勝するのは勇気がいります。
相当なチャレンジングです。
そこを十分に理解した上で働きましょう。
パワハラやモラハラなど精神的に参ってしまう危険性がない限り、仕事はすぐに辞めずに続けましょう。
「3年は続けろはオワコン」
みたいな風潮がありますが、
「経歴なしのお笑い芸人が就職して3ヶ月で辞めた」
これだと転職先の面接を受けると良い印象は与えられません。
むしろ悪影響を与えます。
「うちでもすぐに辞めるんじゃないか?」
「継続性がないんじゃないか?」
「根性がないんじゃないか?」
など考えていまいます。
なので、元お笑い芸人を採用することはリスキーなんです。
そこを理解し、与えられた業務は責任を持ってやり抜きましょう。
挫折した人間はベンチャー企業経営者の大好物
特にベンチャー企業の経営者に多いのが、挫折をした経験への共感性です。
多くのベンチャー企業の経営者は挫折と成功を紙一重で繰り返しています。
そんな中、
~お笑い芸人の夢を持って上京して、結果的にダメだったけど今度は劇場のお客さんじゃなくて営業先のお客さんを楽しませる夢を横展開した元芸人~
いかにもドラマチックで響きが良いです。
絶賛チャレンジしています。
そこに共感してもらえます。
実は気づいていないかもしれませんが、アナタの武器は挫折経験です。
夢を諦めて、新しい夢を探している人は魅力的です。
経営者はサクセスストーリーを好みます。
絶望的な状況の今からどう這い上がれるか。
そこに興味を持たれます。
アナタの物語はいまどのフェーズなのか。
これから新たなページを刻み動き出そうとしているのか。
ぜひ語れるようにしておきましょう。
まとめ
今回はお笑い芸人が就職する上で持つべきマインドセットを上げていきました。
まとめると、、、
- 会社に先に入った人の方が先輩
- 会社員でも干されることがある
- 相手からの指摘は真正面から受け取る
プライドを捨てる
- ネタ的なものが振られたらどうするか
- 素直さは最強のスキル
- 指摘された内容を改善していこうという姿勢が大事
経歴なしは採用したくない(企業目線)
- 過去の採用事例がないお笑い芸人はどう教育すればいいのか
- すぐに会社を辞めてしまうリスクがある
- 日本は減点方式なので「チャレンジ>」ノーミス
挫折した人間はベンチャー企業経営者の大好物
- 挫折からリスタートしている人間は魅力的
- 挫折時の考えと這い上がろうとしている今の考えを語れるようにしよう
- 挫折経験は武器
元お笑い芸人が実際に働くことで重要な内容です。
まだ就職面接段階でも問題ありません。
働くことを想定してリスクもこれだけあることだけでも想定する必要があります。
これは学校では教えてくれません。
会社でも場合によっては教えてくれません。
だからこそ重要なのです。
会社員ではお笑い芸人の経験は邪魔になることもあります。
過去は変えられないので、現実に向き合い、、未来をどう変えるのかフォーカスしましょう。